今、何回目かのお城ブームが来ているらしい。そういえば、テレビ番組や新聞などでも特集企画が多いようだ。城を見る場合、初心者としてどのようなことにポイントを置いてみれば楽しめるのかを考えてみた。

1.天守
  城と聞いて誰もが思い浮かべるのはやはり天守であろう。春には桜、秋には紅葉、冬には雪景色を背景に悠然と建った天守を見上げると、その立派さ、美しさの背景にはどんな歴史があったのだろうという思いに駆られる。ただ、明治6年(1873)に明治政府が発した「廃城令」により、江戸時代かそれ以前に建てられ、今もその姿を残している現存天守は、以下の通り全国に12しかない。

現存12天守
弘前城 青森県 重要文化財
松本城 長野県 ※国宝
丸岡城 福井県 重要文化財
犬山城 愛知県 ※国宝
彦根城 滋賀県 ※国宝
姫路城 兵庫県 ※国宝・世界遺産
松江城 島根県 ※国宝
備中松山城 岡山県 重要文化財
丸亀城 香川県 重要文化財
伊予松山城 愛媛県 重要文化財
宇和島城 愛媛県 重要文化財
高知城 高知県 重要文化財

城の顔とも言える天守は建物の構成や装飾や色が様々で、建造された年代やその当時の城主の立場などが反映されている。初期の天守は、単独で立つ独立式か、天守に櫓などを付属した複合式であった。そこから、防御力を強化するために天守と櫓などを渡櫓で繫ぐ連結式や天守と複数の小天守などを渡櫓で「口」の字形に繋ぐ連立式へと変化していった。

さらに時代が進むと、延焼防止のために独立式がはやったと言われている。因みに、姫路城は連立式で、松本城は連結複合式と言える珍しいタイプである。

松本城の天守群は、5棟が二つの別の時期に亘って建てられている。大天守や乾小天守などは、1594年頃の築造と推定される。一方、赤いバルコニーのような廻縁がついた月見櫓は1630年頃に増築された。1600年に起きた関ケ原の戦いを挟んで、その時代の事情があったようだ。

大天守などは戦乱の世に防御機能優先で建てられたから見た目は武骨な印象で、内部も狭く薄暗い。一方、月見櫓は徳川家光をもてなすために増築されたとも伝わっており、窓が大きく広々として明るく優雅で、太平の世を感じさせる造りとなっている。

松本城の外観が黒っぽいのは、壁の一部に板材(下見板)を用いているからだ。松本城では黒漆が採用されいるが、下見板は基本、煤と柿渋を混ぜた墨を塗って防水性能を上げている。それが黒い外観につながっている。

一方、姫路城では、壁も屋根瓦の目地までも白漆喰で覆われており、それが白い外観に繋がっている。戦国末期からその原材料となる海藻のりが入手しやすくなったことで、白漆喰が大量に利用できるようになった。白漆喰の方が防火性能や耐久性に優れていて、次第に採用が増えていった。