前回は、縄張りについての見方・楽しみ方について述べたが、今回は、石垣についてである。天守などの建物は取り壊されても石垣は残っているところが多い。石垣について少し学ぶとかつてそこに建てられていた、天守や櫓などの建物を想像できる。筆者の経験でも、お城の魅力に最初に引き付けられたのは石垣だった。

明治6年の廃城令のために取り壊しとなった城は、日本全国に数知れない。残っていれば、国宝や重要文化財となっているものが多いはずで、実にもったいないことをしたものである。石垣を観察することで、天守をはじめ取り壊された建物を想像する楽しみを覚えることが、城を楽しめるようになる早道かもしれない。

3.石垣
昔は、土塁によって曲輪を囲んでいたものが、時代と共により強固な石垣が用いられるようになっていった。その石も地域により種類により違ったものが用いられた。さらに、石の表面の加工の度合いによる違いが3種類、積み方による違いが2種類ある。これらの組み合わせによって6種類のパターンがある。

石の加工の度合い
野面積み 自然の石をほぼそまま使う方法で古くからおこなわれた。
打込接ぎ 石を打ち砕いて表面を平にして、積んだ際の隙間を減らす。それでもできる隙間には小石を詰め込む。
切込接ぎ さらに表面を加工して隙間なくパズルのようにぴったり摘めるようにする。
積み方の違い
乱積み
(大小さまざまな石を自由に積む)

布積み
(水平のラインを重視して積む)

野面積み 野面積み
打込接ぎ 打込接ぎ
切込接ぎ 切込接ぎ

地域による石の違い
地域によってとれる石の特徴が違ったり、職人の得意な技術が違うこともそれぞれの石垣の特徴に反映された。例えば、伊豆半島あたりから運んできた石は、安山岩なので石垣は黒っぽい印象になる。一方、瀬戸内海沿岸から調達すると花崗岩だから白っぽい石垣となる。

江戸城の石垣
江戸城は「天下普請」といって、全国の大名に命令して造らせた城だから、全国の石が各地域から運ばれて、それぞれの技術も違っていた。本丸は、伊豆半島や真鶴半島などの安山岩がメインで黒っぽい。二の丸や三の丸では、瀬戸内海沿岸から運ばれた花崗岩が使われているから白っぽい。さらに、大きな塊で採れ、高い強度を持つので、その特徴を生かして石垣の角に多く積まれている、

本丸と天守台
本丸を囲む石垣では、打込接ぎが多用され、一方で、明暦の大火(1657年)の後に、積み直された天守台は切込接ぎが採用されている。

尚、加賀藩・前田家の金沢城はその種類の多様さや美しさから「石垣の博物館」と呼ばれているとのことなので、いずれ訪ねてみたいと思う。